新局長の就任

     (本人紹介)                                                           堀江 信幸(ほりえ のぶゆき)                                                                   静岡県出身
東京大学経済学部卒業                                                     平成7年4月 運輸省入省                                                                                                      平成7年運輸省入省                                                    平成22年7月4日に国土交通省総合政策局からAPTEC事務局長に就任

    このたび、7月4日付で当財団の事務局長に着任致しました堀江です。どうぞよろしくお願い致します。関係の皆様方におかれましては、日頃より当財団に対し多大なる御理解・御支援を賜っておりますことに、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

○観光の力(1)

「観光の力」とは何でしょうか。多々あるのでしょうが、その一つは言うまでもなく、人的な交流に基づき相互理解・相互尊重を創り出す力です。国際観光・国内観光を問わず、観光地を訪れ、その地の雄大な自然美、歴史的な建造物、伝統的な生活習慣や文化等に触れ、それらの盛美なるものを自ら見付け出した瞬間に、その地を理解し、尊重することが可能となるのではないでしょうか。観光の有するこの力の考え方は、観光の語源とされる古代中国戦国時代に編纂された五経の一つ「易経」の「觀國之光。利用賓于王。(国の光を観る。用て王に賓たるに利し)」そのものです。

    現在、インターネットの爆発的な普及のお陰で、外国・国内の別を問わず観光地の様々な情報を瞬時に、かつ正確に自宅やオフィス等でいとも簡単に入手することが可能です。その情報により様々な面で大きな恩恵を受ける事も多いのですが、その情報だけでは、その地の盛美なるものを「観る」ことはできません。実際にその地に足を運び、そこで暮らす人々の習慣や文化、雄大な自然や伝統ある歴史的建造物等を肌で感じ、その地を身体全体で感じることによって、その地やそこで暮らす人々を理解し、尊重し、受け入れる事ができるのでしょう。またそうすることで、逆にその地やそこで暮らす人々から同じように温かく受け入れられることができるのでしょう。これを我が国と相手国との間で常日頃から行っていくのであれば、金銭的価値では計り知れない相互理解・相互尊重、つまり国際協調が生み出されるのではないでしょうか。それ故、観光の持続的な発展は、世界的な恒久的友好と国際社会の相互理解を増進すると言っても過言ではありません。

○観光の力(2)

    観光が有するもう一つの力は、観光に伴う様々な消費活動や産業活動に基づき経済成長を創り出す力です。最近、特に注目されている点です。世界経済における従来型の産業が成熟を迎える中、UNWTOの報告によれば世界の国際観光客数は平成17年に8億人近くであったものが、平成32年には16億人近くの規模に拡大すると見込まれているからです。そのため、観光そのものが今やどこの国にとっても、またどこの自治体にとってもリーディング産業として位置付け、その成長に躍起になっているのです。我が国でも最近、特に中国人観光客の増加と、彼らを我が街・我が店に何とか取り込もうとする自治体や企業の取り組み等が、新聞・テレビ等のマスコミにおいて盛んに報道されているのを皆様も御覧になっていることでしょう。特に本年7月から中国人観光客のビザ取得の条件が緩和されたことを受け、訪日中国人観光客が爆発的に増加しています。彼らは、国の経済成長の姿そのままの消費欲求や我が国に対する興味探究心から、旺盛な経済活動を行っています。また、それに伴い、旅館・ホテル、デパート等でも中国語を習得している者の雇用も拡大していると聞いています。

このように、観光には、現在の国際社会が求める国際協調と世界経済成長という二つの要望を実現する力が備わっているのです。

○観光の課題

 しかしながら観光には未だ解決しなければならない課題も残っています。観光振興を目的とした開発に伴う自然環境破壊や、観光客の増加に伴う治安悪化や生活環境悪化等の問題はその最たるものかも知れません。また、そもそも国の経済的基盤等が未成熟なため外国人観光客を受け入れる体制が整備されていない国や地域もまだ少なからずあります。私どもが業務支援するUNWTOアジア太平洋センターの管轄地域内における開発途上国ではそのようなケースも散見されます。私どもは、これらの国々に対する観光事業従事者の育成支援や観光分野における技術協力等を実施するとともに、UNWTOが推進する「持続的な観光を通じた貧困の軽減(ST-EP: Sustainable Tourism-Eliminating Poverty)」の方針に基づき、これら開発途上国を対象に、我が国から訪問団を組織・派遣し、先進国からの国際観光客増大を目指すシンポジウムや商談会等の開催を実施しています。

○おわりに

    私どもは、上記のような観光の課題を少しでも解決し、観光が有する力が今後もますます発揮できるよう、引き続きUNWTOや観光庁をはじめ、関係各国・関係自治体・関係団体・経済界・学界等と連携し、外国との観光交流による我が国の国際化のみならず、相互の観光交流を通じたアジア太平洋地域の相互理解の深化と経済産業発展を目指して、積極的に業務に取り組んで参ります。

 関係の皆様方の引き続きの御理解と御協力を賜りたくお願い申し上げます。

 

※2009年から、機関誌「TOURISM21」の紙面発行を中止し、TOURISM21 ニュースレターを不定期に発行しております。

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