持続可能な観光

長崎県佐世保市黒島町:持続可能な世界文化遺産「黒島の集落」づくり

投稿日:2022/11/22 / 最終更新日:2023/10/11
団体種別 観光関連団体

事例概要

 黒島は長崎県佐世保市の九十九島で最大の島で、佐世保駅から約30分の相浦港からフェリーで約50分の沖合に位置する一周12kmほどの小さな島です。
 近年の人口減少に歯止めがかからず、高齢化率も50パーセントを超え、同時に地域経済も沈滞し、島民の生活の先行きが憂慮されている中、1989年に、「島が活気づくためにも夏祭りや運動会等といったイベントを開催・運営できる組織が必要だ」と島内の中で呼びかけが行われ、女性による「黒島婦人会」と若手中心の「黒島青壮年会」が結成されました。そうして、徐々に島民の中に人をもてなす気持ちが醸成されていった1998年、黒島天主堂が国の重要文化財に指定されたことをきっかけに、黒島に観光客の誘致をしようという機運の高まりを受け、黒島初の観光ガイド組織「黒島史跡保存会」が結成されました。この史跡保存会の活動が評判を呼び、毎年、平均約1,300人が訪れる島となり、2014年に『「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成資産の1つである「黒島天主堂」(当時)』の世界遺産推薦候補に選定されると、黒島観光客数が一気に増加し、2,000人以上が訪問するようになりました。同保存会では、世界遺産登録を契機としてさらに多くの観光客の皆さまが黒島を訪れることが予想されたことから、黒島の観光振興を進めるために、黒島史跡保存会からステップアップしたNPO法人黒島観光協会を2015年1月に設立し、島全体における世界遺産登録に向けた機運の向上と共に、島ぐるみで観光事業を推進することによって、島内の経済浮揚、人口増加のきっかけとするための取組を開始しました。
 直近におきましては、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の1つとして「黒島の集落」が世界文化遺産に登録され、観光客が増加した一方、島内の公共トイレや交通手段といったインフラが不足していたことを踏まえ、島内の商店や飲食店と連携し、店舗のトイレを観光客が利用できるようにする「黒島おもてなしトイレ」活動を実施するとともに、自然環境を守りながらゆっくりと景観を楽しむことができるグリーンスローモビリティや電動バイクの整備を進めています。