メコン川流域諸国観光促進教育セミナー

「TOURISM21」ニュースレター

当財団は、世界観光機関(UNWTO)並びに世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)と共催で、8月18日、19日の両日、カンボジア、ラオス、ヴェトナムとTDLC東京スタジオ、アジア開発銀行(ADB)バンコク事務所を衛星回線でつないだ観光促進ビデオ教育セミナーを実施した。メコン川流域諸国の開発については、昨今その必要性が重要視されてきている。ちなみに2009年は日メコン交流年とされている。当事業も「日メコン交流年事業」として外務省から事業認定を受けている。

メコン諸国(ヴェトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー、タイ)の内、とりわけヴェトナム、ラオス、カンボジアの3国はメコン・トライアングルを形成しており、いずれの国も観光(ツーリズム)振興を経済発展の重要な柱としている。観光は、同3国にとって外貨獲得の主要産業であるため、観光による地方経済の活性化により、同3国における貧困の軽減を望むことができる。また、既存の観光資源の活用と、その管理を含めた持続可能な観光開発には新規の大規模投資が不要のため、同3国においてもその実現が高く見込まれる。

そこで、「メコン川流域諸国における持続的観光開発と地域の観光振興による貧困の軽減」をテーマに、当センターと上記2機関は下記概要にて同地域の観光産業従事者、観光行政担当者等を対象に、主に各国の国際旅客の受け入れ態勢、3国間および他周辺諸国との連携・地域内・間協力の在り方等について考える教育、啓蒙セミナーを開催することとした。
実施日時:2009年8月18日、19日、(各国との下打合わせを除く)
実施会場: カンボジア日本人材開発センター(主会場)
ラオス・ビエンチャンおよびヴェトナム・ハノイの世界銀行スタジオ
日本・東京TDLCスタジオ
アジア開発銀行(ADB)バンコク事務所
*5会場を世銀ビデオネットワークシステムで連結
主催: 世界観光機関(UNWTO)、アジア太平洋観光交流センター、
世界銀行東京開発ラーニングセンター
協力: 日本財団、 日本旅行業協会(JATA)
後援: 日本国観光庁、カンボジア観光省、ラオス政府観光庁、ヴェトナム文化・スポーツ観光省
参加者: 各スタジオから各国の観光行政者、観光産業関係者と講師、世界銀行関係者等
1日あたり150名、2日間延べ300名の参加があった。
使用言語:英語
プログラム

メインテーマ:メコン川流域諸国における持続的観光開発と
地域の観光振興による貧困の軽減

プログラム1日目
09:30(日本時間 11:30)
開会挨拶: *司会:カンボジア観光省
飯嶋康弘 世界観光機関(UNWTO)アジア太平洋センター副代表
福井 龍 世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)マネージャー
竹原 勇一 観光庁MICE推進担当参事官付観光渉外官[本保長官メッセージも伝達]
イン・トエウン カンボジア政府観光省 事務局次長
ヴァン・ラッタノヴォン ラオス政府観光庁 副会長
トラン・チェン・タン ヴェトナム政府文化スポーツ観光省 副大臣
柴田 耕介 社団法人日本旅行業協会(JATA)理事長

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10:30 ~
基調講演「GMS(グレーターメコンサブリージョン)における交通と観光開発」、質疑応答
アルジュン・ゴスワミ アジア開発銀行(ADB)マニラ本部 東南アジア部
地域協力統一グループ アドバイザー 代表
基調講演「全世界の視点から見たメコン川流域諸国における観光」、質疑応答
高松 正人 ツーリズム・マーケティング研究所 代表取締役
講演「メコン地域における日本人の観光の特徴と観光促進」、質疑応答
保坂 明彦 社団法人日本旅行業協会(JATA)海外旅行業務部マネージャー
15:30 ~ メコントライアングル各国 講演
講演「持続的観光開発の現状と今後の課題および地方の観光振興」
トク・ソクホン カンボジア政府観光省 国際協力・ASEAN担当部 部長
講演「国際観光客の誘致促進へのアプローチ」
アン・キム・エン カンボジア旅行業協会(CATA)理事長
講演「ラオスと地方における持続的観光開発の現状と今後の課題」
スーン・マニヴォン ラオス政府観光庁 計画協力部 事務局長
講演「国際観光客誘致の方策は? ラオス経済界の促進アプローチ」
インティ・デウアンサヴァン グリーンディスカバリーラオス所長
講演「ヴェトナムにおける持続的観光開発の現状と今後の課題および地方への観光促進」
パン・トルン・ルオン 観光開発調査機関 副所長
講演「国際観光客誘致のための効果的プロモーション」
ヴォ・アン・タイ サイゴンツーリストトラベルサービス社 部長
17:30 ~ セミナー1日目のまとめと挨拶
イン・トエウン カンボジア政府観光局 事務局 次長

プログラム2日目
パネルディスカッション 09:40 ~12:30
テーマ「メコン川流域諸国間の協力について メコン地域をひとつのデスティネーションとして開発・促進させるために我々は何ができるか? 協力活動の問題と課題は何か?」

モデレ―タ―(3カ国の代表者)
カンボジア:イン・トエウン カンボジア政府観光省 事務局次長
ラオス:タヴィぺト・オーラ ラオス政府観光庁 計画協力部 事務局次長
ヴェトナム:パン・クアン・フン ヴェトナム政府観光局 国際協力部 部長
主モデレ―タ―(日本人基調講演者)
高松 正人 ツーリズム・マーケティング研究所 代表取締役

1. 各国別のディスカッション(各スタジオで)
2. 各国別ディスカッションのフィードバック
3. 全体ディスカッション 「3カ国における共通課題について」
4. まとめと提言

セミナー終了にあたって

経済・社会発展のためのメコン川流域諸国の連携・協力の重要性については、アジア開発銀行のアルジュン・ゴズワミ氏の基調講演テーマでもあったGMS(Greater Mekong Subregion)プログラムが発足した1992年以来、関係諸国にはよく認識されてきた。しかしながら、各国間、また日本をはじめ、各国への援助協力の枠組みの中で、観光部門からみた具体的な協力関係、連携の認識と方策の実現については必ずしも十分なものではなかったことは否めない。
メコン各国とりわけ、今回セミナーに参加したカンボジア、ラオス、ヴェトナムの3カ国においては、観光産業は開催趣旨にも述べたように各国の主要産業になっており、その振興のためには観光インフラ整備が重要であることは勿論であるが、更なる観光産業発展には、とりわけソフト面の向上、連携が肝要である。今回のセミナーは、主にこのソフト面に焦点をあてたものとなった。
第一日目の各講演と第二日目のパネルディスカッションを通して具体的な連携、協力提言が示されたことは大きな成果といえる。例として、ヴェトナムが、既に実行している観光人材教育プログラムへのカンボジア、ラオスの参加、ヴェトナムで3カ国のツアーオペレーターによるワークショップ開催、メコン共同旅行パンフレットの作成や共同キャンペーン実行の協議、各国観光行政者によるODAに対する観光部門への投資増額働きかけなど多数の実行が約束された。特に既にGMSの概念を認識していながら、実践の具体的な一歩を踏み出す機会を待ち続けていた実務担当者、関係者にとって、有意義・有効なセミナーとなったことは、主催者として喜びに堪えない。改めて、本セミナー開催趣旨を深く理解していただき、共催いただいた世界銀行 東京開発ラーニングセンターと、各国UNWTO担当者並びに各関係者、そしてなによりも、資金支援をいただいた 日本財団に対して深甚の感謝の意を表したい。

 

※2009年から、機関誌「TOURISM21」の紙面発行を中止し、TOURISM21 ニュースレターを不定期に発行しております。TOURISM21ニュースレターVol.34以前はこちらでご覧いただけます。⇒ 「TOURISM21」ニュースレターこれまでのページへ